CP/D家族(マルエー前提)実際ガープはエースをほんとの孫のように愛していたと思いますし、2人の話がもっとあれば良かったのにと思いつつ書いています。
ただ悲しいかなストーリー性は無いに等しく、お馬鹿でひたすらぬるい内容です。
[4回]
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二人が出動してから暫く経ち、次第に空は薄暗くなってきていた。太陽は赤く熟し、ゆっくりと海に溶けようとしていた。
マルコが出向いてからも目に見える展開がなく、白ひげがいよいよ痺れを切らした時、海軍船から見慣れた青白い光が飛び立った。
何の戦果もなく単身でモビーディック号に戻ったマルコを白ひげは問いただした。
「おめぇまで行っておいてこれはどういうことだ」
マルコは、海軍船でのあり得ない顛末を話した。
ガープがエースの育ての親だと主張している事には、船に乗る全員が驚いていた。ガープに戦う意思はないと言う事と、エースに会いにきたついでに白ひげにも面会を要求していることを伝えた。
敵からの突拍子もない申し出だったが、白ひげもその当時の海を知る人物と久しぶりに話がしたいという気持ちはあるようで、顎を触りながら考え込んでいた。
「エースは大丈夫だったのか?」
「ああ、エースはガープを止めようとしていただけだよい。血縁かどうかはわからねぇが、エースを捕まえる気はないみてぇだよい」
なるほどなと白ひげは難しい顔で悩んだ。そして「いいんじゃねぇか」とガープの要求を飲むような発言をした。
それには隊員達もざわめいた。
「正気かオヤジ!相手は海軍本部の中将だぜ!」
一部の隊員は即座に反対したが、白ひげは一蹴した。
「ガープは嘘をつくような策略家じゃねぇ。長年渡り合った俺にゃあわかる。戦う意思がねぇなら結構じゃねぇか、俺ぁ早く宴がしてぇんだ」
白ひげの一言で話は決まり、海軍船への遣いは再びマルコが行くことになった。
マルコは普段であれば白ひげの命令でも断りたい役回りだと思っていたが、他でもないエースのためなので、甘んじて受けることにした。
不死鳥の姿でガープを先導するマルコと共にエースはモビーディック号に戻った。そして白ひげの姿を確認すると、即座に詫びた。
「オヤジ!すまねぇ、俺のせいでこんなことになっちまって・・・」
「グララララ!おめぇが気にすることじゃねぇ。俺がガープと話がしたかったんだ」
恐縮するエースをよそに白ひげは言った。
そしてモビーディック号は就航以来、前代未聞の珍客を迎えることになった。
ガープは海軍船から小船に乗り換え、モビーディック号にやってきた。最初は軍艦ごと乗りつけようとしたのだが、それはさすがにマズいとガープの部下達が引き止めたのだ。
ガープは場違いな海賊船にオドオドしている部下を引き連れて、威風堂々とモビーディック号に乗り込んできた。
「久しぶりじゃな!エドワード・ニューゲート」
モビーディック号の甲板で既に宴の準備が進められているのを見て「なんじゃ、宴か?」と暢気に言った。
「英雄ガープ、まさかおめぇをモビーディックに招く日が来るとはな」
白ひげは全盛期を取り戻したような眼光で、好戦的にガープを迎えた。
相手の力量を試すような白ひげの覇気に、船内は一瞬にして緊張状態になる。
エースはマルコの隣でビリビリと覇気を感じながら、二人の行く末を見守った。
ガープはその当時、センゴクと共にロジャーをも追い詰めた実力者だけあって、少しも怯むことなく白ひげに対峙した。
「今日は海軍中将として来たんじゃないわい。エースの家族としてきたんじゃ!ぶわっはっはっは!」
ガープの百戦錬磨の度胸と人柄で、場の緊張が一気に解ける。お互いの衰えない勢いを確認すると、白ひげは言った。
「今日は海賊も海軍もなしだ!息子ども酒を持ってこねぇか」
船の食糧庫から酒を大量に持って来させ、ザワザワと賑やかさを取り戻した甲板でいよいよ宴が始まった。
ロジャーの時代を共に過ごした人物は、白ひげが思うように少ない。
周囲の心配をよそに宴は問題なく進んでいた。
エースはマルコやジョズなど古株の隊長達と共に酒を飲んでいた。
「まさか海軍の英雄ガープがエースの育ての親だとは驚きだよい」
「ゲンコツのガープだな!」
長年モビーディック号に乗り組んでいたティーチもまた、かつて白ひげが渡り合った好敵手を懐かしんでいた。
エースは白ひげとガープの会話が気になってマルコ達との会話も気もそぞろになり、杯があまり進まなかった。
白ひげに「エース!」と呼ばれると一瞬観念したように瞼を閉じ、白ひげとガープがいる方に向かった。
「わしゃあお前が海賊になったことをまだ認めとらんからな!海賊になったばかりか悪魔の実まで食いおって・・・」
ガープはエースが来るなり開口一番そう言った。
「その話はよしてくれ。ジジィには関係ないだろ」
「育ての親に対してジジィとは何事じゃ!」
「だから育てられた覚えはねぇ!」
突然始まった押し問答に、海兵は怯え、海賊は楽しみながら見物していた。
ガープが必殺のゲンコツを振り上げると、エースは条件反射で両手で頭を防御した。
「・・・っ!」
「ぶわっはっはっは!ルフィもお前もわしのゲンコツの痛さだけはよく刷り込まれとるわい」
ロギア系のエースは打撃に対する攻撃は聞かない筈だ。目に見えない上下関係に家族を感じ、周囲からはドッと笑い声が起こった。
「うるせぇなっ・・・!」
恥をかいたエースが、ガープに食ってかかろうと胸ぐらを掴んだ時、急にガクッと頭を垂れて寝てしまった。
さっきまで言い争っていたはずのガープも頭を天に反らせて寝こけていた。
突然の事態に、誰も状況を理解できず周りは大騒ぎになった。
「二人とも話の途中で寝やがった!何なんだこいつら、自由すぎるぞ!」
あまりの展開に驚愕したサッチは叫んだ。
「すみませんっ!ガープ中将はいつもこうなんです!」
ガープの若い部下は、白ひげの面前である事を恐れて必死に弁明した。
「まるでエースが2人いるようだよい」
「グララララ!Dの一族はわからねぇ奴等ばかりだ」
白ひげが笑うと、ガープの目がパチッと開き、自分の胸ぐらを掴むエースを見て怒鳴りつけた。
「胸ぐらを掴むとは何事じゃ!!」
ドカンッと派手にゲンコツが飛び、エースは頭を抱えて目を覚ました。
「いってぇ!何すんだよジジィ!」
「愛ある拳じゃ!」
ロギア系のエースを殴ったことで白ひげ海賊団からも一目置かれたガープは、何事もなかったように豪快に酒を飲み始めた。
- Continue ------------------------------------------------------
ガープと白ひげ、エースとマルコ、ガープとエース、その他もろもろ・・・何がなんだかという話ですが、書いてるのは楽しいです。コビーとかヘルメッポもと思いましたが、ややこしいので無しにしました。
次で完結です。
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