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水響庭Blog

日々、思いつくまま書き連ねて行く駄文妄想blogです。 One piece/12、進撃の巨人/エルリその他を亀更新していきます。 作品はシリーズ毎のカテ分けになっています。 現状はOne piece、進撃の巨人のみになります。話は基本R15、R18を含む流れになりますので、苦手な方はご注意下さい。

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冬島(12)

CP/マルエー
避けていたマルコと遭遇するエースです。この二人の間に入れるのはサッチかビスタくらいしかいないんではないかと思いながら書いています。
お互いが気まずい12話目です。

拍手[6回]

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甲板を後にしたエースは、すぐに食堂には向かわず、意味も無く地下の倉庫や資料室に寄り道をしていた。

普段本など読まないエースは地下にある資料室に入るのは初めてで、饐えた紙の匂いは異空間に来たことを感じさせた。
いつも業務書類を整理している上階の資料室とは違い、そこは洋館の古びた図書館のように暗く湿った部屋だった。
部屋に整然と並べられた棚は天井まで届き、その全てに本がぎっしり詰まっている。収まりきらない本は床に整然と積み重ねられていた。
エースの部屋より大分広い資料室の蔵書はかなりの量で、古いものから新しいものまで様々だった。
蔵書は主に医学や航海術、専門的な地図や海図などで、恐らく航海士や船医などしか使っていないのだろうとエースは思った。
目的なく漠然と本を探し、世界地図が分類された棚で「東の海」と副題がつけられた大きい地図帳を手に取ると、無意識にゴア王国を探していた。ゴア王国が見つかると、コルボ山からフーシャ村を辿る。
17年間住んだ島も、地図で見るとまた違った印象に見え、大きい地図を床に広げ、没頭するように見入っていた。
マルコの事を考えたくないエースにとって集中できることが見つかったのは幸いだった。

それからどのくらい時間が経ったのだろう。エースにしては珍しく食事を採るのも忘れて、今はフーシャ村を出てから航海した航路と島々を辿っていた。
暫くすると、突然資料室の扉が空く音がしてエースは人の気配に驚いて顔を上げた。
そこには片手に重そうな本をいくつも抱えたマルコが、同じように驚いた表情で立ちすくんでいた。
「・・・マ、マルコ」
マルコと目が合うと、気まずさから咄嗟に足元に目を逸らした。マルコも言葉を失ったようにただ立ち尽くしている。何か言わなければと思えば思うほど言葉にならず、場がどんどん不自然になっていく。あからさまに目を逸らしてしまった以上、顔を上げることもできないエースは、マルコがいっそのこと自分を無視して用事を済ませてくれれば良いのにと思った。
その時、マルコの後ろから聞き慣れた別の声がした。
「マルコ、何やってんだ。後ろが詰まってんだから早く入れよ」
声の主は、マルコを資料室の中に無理矢理押し込むようにして入ってきた。
そこには同じように本をいっぱい抱えたサッチが立っていた。
マルコの位置まで入ってきたサッチはエースと目が合うと、マルコより単純に驚いてみせた。
「エースじゃねぇか!お前がこんなところで何してるんだ。具合でも悪いのか?」
サッチも一緒だったことで内心胸を撫で下ろしたエースは、マルコとの気まずい沈黙など無かったかのように自然を装って答えた。
「することねぇから本読んでた。二人してこんなとこに何の用だ」
「お前が本とかいう柄か?俺らはオヤジから言われて、船長室の本を片付けに来たのさ」
そういうと手に持っていた難しそうな本をドサッと無造作に足元へ置いた。
それを見たマルコは、エースがいる気まずさよりも職責が勝ったのか、ようやく重い口を開いた。
「サッチ、分類してから置かないと航海士達が困るよい」
「俺ぁこういう作業は苦手なんだ」
ごめんだという表情でサッチはさじを投げると、エースの横に来て一緒に地図帳を覗きこんだ。
「東の海なんて見て面白ぇのか?」
「ここは俺が育った海なんだ」
「へぇー、意外だな」
サッチは、最弱の海と評される東の海でエースが育ったことが意外だったらしく、色々と島に関する質問をするので、エースはそれに一つ一つ答えていた。

サッチがエースに構っている間、マルコは同僚が投げ出した本の分類を渋々一人でやっていた。何列もある本棚を行き来して、持ってきた本を一冊ずつ几帳面に分類して収めている。
白ひげが使っていたであろうグランドラインの古い地図帳を整理しに、地図が分類されている列に来たので、エースは思わず息を飲んで固まってしまった。
「どうした?」
サッチに伺うように問われたが、「何でもない」と答えるしかなかった。

暫くしてマルコは全ての本の整理を終えると、和気藹々と地図帳を見て遊ぶ二人に話しかけた。
「終わったよい。メシ行かねぇのか」
「おぅ、行こう。午前中もよく働いたぜ」
運んでくる以外何もしていなかったサッチは、立ち上がりながら大げさに伸びをして、横からマルコに蹴られていた。
エースは二人と一緒に行くべきかどうか迷ってのろのろと本を片付けていたが、複雑な事情を知らないサッチは早く食堂に向かいたくてエースを急がせた。
「何やってんだエース、早くしろよ」
エースを見ていても一向に片付けが進まないので、サッチは痺れを切らせてエースが散らかした本を代わりにさっさと片付けてしまった。そして、資料室から出ずにぐずぐずしているエースを、無理矢理部屋から押し出した。

資料室から出ると、マルコは廊下の壁に腕組みしながら寄りかかり、そっぽを向いて二人を待っていた。マルコとは資料室で鉢合わせした時以外に目を合わせていない。エースはマルコがこちらに振り向くのを恐れて無意識に視線を外してしまった。
昨日の事を忘れると誓ったばかりなのにマルコの挙動に捉われすぎている自分が嫌になり、なるべく堂々と振る舞おうと思い直して二人の後についていった。

この三人でいるときには珍しく会話が弾まなかったので、サッチは気を遣って二人に話しかけていたが、「お前って本読むような奴だったか?」と何度も聞いて来たのにはエースもうんざりだった。

- Continue -
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微妙に堅い空気の二人に挟まれて、可哀想なサッチです。マルコと長い付き合いのサッチなので、うまくしてくれそうな気もします。そんな感じで13話に続きます。


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