CP/マルエーようやく船の保全作業から解放されたエース。ヘロヘロで部屋に帰るも、部屋はギンギンに寒く、心まで寒い・・・という都会人さながらのエースです。
[4回]
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エースが自室に戻ってこれたのは、気温がぐっと下がった夜半過ぎだった。
今日も一日船内を右往左往していたおかげで、エースの身体は軋みそうなほど疲労していた。
一日ぶりに戻った自室は、冷凍庫さながらに冷えきっていて、まるで何日も部屋を空けていたかのように生活感が無かった。
モビーディック号は暖房設備もしっかり整っているため、エースは防寒着を脱ぐとすぐに備え付けのストーブを付けた。
横になろうとベッドに腰掛けたが、シーツもカチカチに冷たくなっていて、寝転がるのを躊躇ってしまう。
エースは自分で火を出そうかと右手をかざして見たが、乾燥しきった部屋で火を熾して船火事にでもなったら笑えないと思い直した。
今日一日忙しすぎたせいか、気持ちが高ぶっていてすぐに眠れそうもない。
無性に誰かと話がしたい衝動に駆られて、エースは凍えるような自室から出た。
エースは、夜中に急に訪ねていっても受け入れてくれそうな人間を思い浮かべてみる。
サッチ、ビスタはこの時間はもう寝ているはずだ。わざわざ自分のために起こすことはできないとエースは思った。
そうなると、エースの相手をしてくれそうな人間は、残るはマルコしかいなかった。
エースはマルコの部屋の前にやってきた。扉の隙間からチラチラとランプの灯りが漏れている。
エースは控えめにドアをノックした。
「マルコ」
しばらくすると、部屋の中で人が動いた気配がして、薄く扉が開いた。扉の隙間から暖かい空気がふんわり溢れた。
「エースじゃねぇかよい。こんな夜中に何の用だ」
「夜中に悪りぃ。さっき部屋に戻ったんだ。部屋が暖まるまでいさせてくれよ」
エースは暖かさに引き寄せられ、マルコの返事を待たずに部屋に滑り込んだ。
「エース、勝手に入るな。俺はもう寝ようとしていたとこだよい」
突然のことに、マルコはエースを制止しようとしたが、当のエースはマルコのベッドに腰掛けると、そのまま上体をボスンと後ろに倒した。マルコがさっきまで横たわっていたのか、シーツには温もりがまだ残っている。
「疲れたー!もう、寝そう」
エースは大きな伸びをしながら言った。
「おい、寝るな。お前、今日は部屋を暖めてなかったのかよい」
マルコはエースの侵入を諦めて扉を閉めると、エースの隣に腰掛けた。
「今日はずっと作業してたから、暖めておくの忘れてた」
エースは悪びれる様子も無く、ベッドの枕元に置いてあったニュース・クーを勝手に読みはじめた。
エースが部屋に上がりこむことは今までにも度々あったが、夜中に訪れることは滅多にない。
しかも、マルコがエースに欲を感じるようになってから2人きりになるのは初めてだった。
防寒着を脱いできたエースは、裸の上に前が開いた薄手のシャツを着ている。
仰向けに寝転がって新聞を読むエースのシャツは無造作にはだけていて、引き締まった腹筋が露わになり、ズボンの隙間からは骨盤のはりが見えていた。
マルコは見てはいけないと思いながらも、無防備なエースの下腹部に視線を這わせてしまう。
マルコが邪な目でエースを見ていることを、エース自身は全く気づいていない。
エースの性格上、これからも気付くことはないだろうとマルコは思っていた。
無防備にもマルコの部屋に押しかけてきたエースは、マルコにとってまさに飛んで火に入る虫同然で、急に訪れたチャンスをどうしたものかとマルコは頭を悩ませた。
- Continue ------------------------------------------------------
ピーまでもう少しだけありそうです。
短文でサクッと2話に!と思ってましたが全然でした・・・。
ピーは(5)からの予定です。
短文じゃねぇじゃねぇか!!ごもっともです。
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