CP/マルエーマルコに説教を喰らうエース。
船内ではお馴染みの光景になっています。うちのエースは少しMっ気があるのかもしれません。
[3回]
-----------------------------------------------------
マルコは部屋に入ると、慣れた手付きでランプに火を灯した。
部屋は冷んやりしていて、寒さからくるのかエースは全身がブルッと震えるのを感じた。
マルコは気怠そうに物書き用の椅子に座ると不機嫌な表情のままエースに向き直った。
手足の先に淡く電気が流れるような、いつもの緊張感。
マルコの半眼にじっと見据えられると、エースは目を逸らすことができず唾を無理矢理飲み込んだ。
「オヤジはお前が余程のバカをしない限りは怒らないだろうよい。」
マルコは口火を切った。
「俺が言いてぇのは、自覚の問題だ。部下の事を気にもせず勝手に飛び出して、それで隊長が務まるのかよい」
エースは16人いる隊長の中でも一番若く、隊歴が短い。スペード海賊団出身は皆若い者ばかりだったが、2番隊にはティーチのような古株もいるのだ。
エースの性格と強さ、類い稀なるカリスマ性で隊を纏めることは出来ていても、隊の伝達や管理を時たま忘れて自由に飛び出しているようでは、隊長としての自覚が足りないとマルコは思っている。
「それに白ひげのシンボルを晒しながら飯屋で寝こけるとは、バカ丸出しもいいところだ。サッチが見つけていなければどれだけ大きな騒ぎになっていたか、お前は少しでも考えたのかよい」
例え海軍が来たところで負けるような白ひげ海賊団ではない。だがエースの不注意で騒ぎに収拾がつかなくなった時、止むを得ず島民を傷つけることにもなり兼ねなかった。白ひげは無駄な争いを好まないのだ。
「オヤジの名前に泥を塗るような真似はするなよい」
マルコの最後の言葉が痛い。マルコはいつもエースに隊長の自覚について説教をしているが、これだけマルコに怒られている自分が、隊長に向いているとはエース自身思っていなかった。
「アンタの言うこと無視して飛びだしたのは悪かったよ。オヤジの顔に泥を塗るとこだったことも。俺が隊長に向いてねぇ事もわかった。だったら最初からティーチを隊長にすれば良かったんだ。別に俺はアンタの下でも・・・」
「何度言ったらわかるんだよい!」
マルコは手持ち無沙汰に持っていた本をバンッと机に叩きつけると、エースの言葉を遮った。
その瞬間、空間が急に無音になり、部屋の外が思いのほか人で騒がしかったことに気づく。
夕飯に向かう人々のざわめきはまた、すぐに廊下に充満し、マルコは普通の声を装って続けた。
「誰が上だったらという話じゃないよい。お前のことはオヤジも十分認めてる。お前自身が隊長としての責任と役割をもっとしっかり把握しろと言いてぇだけだよい」
マルコはエース自身に隊長として独り立ちして欲しいのだ。エースが勝手な行動をする時はいつも、裏で2番隊の面倒をマルコが見ている。
この押し問答は何度繰り返して来たかわからない。
マルコはいつも同じことをエースに言い続けているが、エースは一向に理解を示さないのだ。
「・・・」
わかったのかわからないのか、エースはこの話題になると、らしくもなく暗い顔をしてむっつりと押し黙ってしまう。
こうなってしまうといつも、エースは言いたい事があるような眼つきでぐずぐずするくせに、自分の意見を言わなくなってしまうのだ。
「・・・わかったのかわからないのか、どっちだよい。エース」
「・・・うん」
マルコはそれをエースの「わかった」と理解することにした。
「・・・なら話は終わりだよい」
これ以上エースと話していても意味が無いことをマルコは経験でわかっていたので、椅子から立ち上がり扉を開けるとエースに部屋から出るように促した。
「サッチが待ってるんじゃねぇのかよい。一緒に飯食って来い」
「マルコは?」
「俺は後から行く。もう遅いから早く行けよい」
そう言うとマルコは部屋に戻ってしまった。エースは仕方なくサッチの所に向かう事にした。
- Continue ------------------------------------------------------
むっつりするエースに、何がしたいのかわからず煮え切らないマルコ。
これはツンデレ・・・なのか?
PR