CP/マルエーマルコに怒られたエースは、いつもサッチに愚痴を聞いてもらっています。サッチは同じオッサン同士、マルコの気持ちが分かるみたいです。
[4回]
-----------------------------------------------------
サッチの部屋に行く途中にも色々な隊員から声を掛けられた。
「よう、エース!今日は一段と怒鳴られたみたいだな」
「うるせぇ!」
エースが真っ赤になって怒ったので、からかった隊員たちはみな大爆笑だった。
笑い声につられて探し人のサッチが来たので、エースはすかさずサッチの方に歩みよった。
「サッチ、飯は?」
「まだだ。おめぇがあまりにも遅いから、食いに行こうと思ってたとこだ」
「悪りぃ」
殆どの隊員は食事を終えたところなので、エースとサッチは人の流れに逆行するように食堂に辿り着いた。
「そういえばマルコは?」
「後で行くって言ってた。俺と一緒じゃ嫌なんだろ。マルコは-----」
エースは珍しく拗ねたような言い方をした。
「マルコは俺みたいなガキの面倒見るのなんてウンザリなんだよな。いつもしっかりしろ!自覚が足りねぇ!同じことを何回も言わせるな!って、そればっかりさ。素質がねぇと思ってるならオヤジにそう言えばいいじゃねぇか」
エースはコックが運んできた肉厚の海王類のハムにフォークを突き立てた。
「マルコは別にお前に素質が無ぇと思って説教してるわけじゃねぇと思うぞ。逆だろ」
サッチは焼きたてのふっくらしたパンにかぶりついた。
「じゃあ、どういうことだよ」
「隊長ってのは、隊員の命も預かってるんだ。お前も船長やってたならわかるだろ?マルコはお前を誰よりも買ってるし、戦闘のことだけじゃなくて隊や船の管理もできるようになれって言ってるんじゃねぇか?」
「管理ね・・・」
エースが一番苦手な仕事だ。
「お前はまだ若いし隊歴も短いから、わからねぇことも多いだろうし難しいかもしれねぇけどさ、そういうことを頭に入れて働けってことさ」
サッチはサラダの皿を引き寄せるとシャキシャキと音を立てながら食べ始めた。
エースは海王類のハムを噛み続けていたが、突然背後に気配を感じて振り返った。
「イゾウ」
エースは喉を鳴らしてハムを飲み込んだ。
「エース、俺もマルコの言うことには賛成だぜ。おめぇはいつまでも新人気分で周りに頼り過ぎだ。これからもマルコがおめぇのケツ拭いてくれると思ったら大間違いだぞ。マルコが言いてぇのは、細かい事でも自分の役割は自分でしやがれってことだ」
イゾウは厳しい。歯に衣きせぬ物言いでいつも周りを一刀両断する。エースの性格的にはっきり言ってもらえた方がわかりやすくて好きだったが、自分にも他人にも甘えがないイゾウを時として苦手に感じることもあった。
イゾウは言いたいことだけ言うと、長居せずにその場を去って言った。
「イゾウは相変わらずキツい奴だせ」
サッチは苦笑した。
エースは難しい顔をしながらも、食欲には影響しないようでパンを片手にシーフードボイルに取りかかっていた。
「要するに自分の役割をサボらずに、2番隊と船全体をもっと見ろってことだな」
エースは海老の殻だけを器用に口から出しながらサッチに言った。
「まあ、そういうことだな。俺やビスタだって、マルコがいないときは船全体を見てるもんだ。イゾウだってそうさ。マルコは自分がいない時でも安心して船を任せられるやつが1人でも多くいて欲しいのさ」
サッチがそう言うや否や、ゴツンという音と共にサッチの視界からエースが消えた。
「まったく話の途中だっていうのによ、シーフードの上じゃなくて良かったぜ」
サッチはエースの周りから汁物を遠ざけると、ふかふかのパンに突っ伏して寝てしまったエースを見ながら、食事を続けることにした。
- Continue ------------------------------------------------------
エースみたいにふかふかなパンを枕にして寝てみたい。
サッチは間抜けなエースも大好きです。
PR