CP/マルエー冬にこじつけたネタ。モビーディック号で初めて真冬の気候に遭遇したエース。エースは寒さで人恋しく、マルコは危ない欲望が抑えきれない!そんな話です。
タイトル毎に独立した話なので、他タイトルとストーリーや設定はリンクしていません。
[6回]
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新世界の気候は、グランドラインとは比べものにならない程変わりやすく、複雑な条件下で発生する自然現象は、新世界で生き残る能力がないものを次々と淘汰していく。
モビーディック号が航行している海は、新世界屈指の大きさを誇る冬島が浮かぶ海域で、奇しくも冬の季節が到来しようとしていた。
船外で作業をする隊員は皆、獣皮で作られた厚手の服を着込み、完全防備で任務にあたっていた。
炎の能力者で人一倍暑がりのエースも、さすがに防寒具を着込むほどの寒さだった。
「寒みぃ!」
エースは、マストに一晩で成長した巨大なつららを溶かす作業に追われていた。
このままでは帆が張れないと焦った航海士から、日が登る前に無理矢理叩き起こされたのだ。
豪雪、吹雪、凍結と休む間もなく襲いかかる冬島の猛威の中で、エースの能力は引っ張りだこだった。
「エースー!ちょっと急いでこっち来てくれ!扉が凍って3番隊のやつが便所に閉じ込められた!」
「それぐらいお前らで何とかしてくれよ」
エースは唸るように言った。この海域に入ってからというもの朝から晩まで誰かに呼ばれないということはなく、エースはさすがに疲労困憊だった。
「大人気だな、エース。こんな早くから働いているとは珍しいこともあるもんだよい」
「うるせぇ!することねぇならマルコも手伝ってくれよ!」
エースは寝不足もあってかなりイライラしていた。凍えるような場所にずっといたせいか、エースの頬は紅潮している。
「生憎これからオヤジのとこに行かなきゃならねぇんだよい。それに俺の炎は溶かすのには役に立たねぇしな」
マルコはそう言って笑うと船長室へと消えて行った。
マルコは今後の航路となわばりの保全について白ひげと話をしていた。
1番隊から16番隊までの隊長たちは同列の扱いだが、マルコはその強さと隊歴から実質副船長のような役割を担っている。船の重要な方針を決める時に、白ひげにとってマルコは欠かせない存在だった。
「やけに楽しそうじゃねぇか、マルコ」
話がひと段落し、白ひげは巨大な徳利を煽って言った。
「いや、エースが面白くてよい。あいつが来た時の事を思い出す」
マルコは嬉しそうに言った。
忙しくていきり立つエースの姿に、入団当時のエースの姿が重なったからだ。
白ひげに戦いを挑んできた頃のエースは、人生を生き急ぎどこまでも無鉄砲で、若かった。ジンベエ曰く人斬りナイフのように尖っていて、触れるものは何でも傷つけていきそうな危うさがあった。
エースは昔も今も、どこまでも真っ直ぐで、例え白ひげを前にしても決して逃げなかったような強固な信念を持っている。
生意気で強気な態度と、それでいて人懐っこい性格は、すぐに隊員を魅了したばかりか、いつしかマルコの関心も惹きつけていた。
マルコはエースが白ひげ海賊団に入団するのを後押しした縁もあり、何かとエースに気を配っていた。
エースが入団して平隊員となった後も自然とエースを目で追うことが多かったのだが、最近マルコはエースを見る自分の目に、欲が滲んでいることに気がついた。
エースの何をも恐れぬ強気な態度を見ていると、マルコは時折、理由もなくエースの生意気な鼻っ柱をくじいてしまいたいという衝動に駆られることがあった。
かつて白ひげがそうしたように、マルコはエースを自分の力でねじ伏せ、征服したいと考えるようになっていた。
マルコは実力で負けるとは思っていなかったし、自分の下で精神的に陥落するエースを想像して、身体に欲望を覚えてしまうのだった。
- Continue ------------------------------------------------------
アレやソレがコレな話が書きたくて作ってしまいました。。もっと短くする予定でしたが前置きが長くなりすぎました!
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