CP/マルエー自由で、掴みどころのないエースにイライラするマルコ。
意気揚々と船を飛び出したエースは、お約束の行動を起こします。
[3回]
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船を出てから3時間後、エースは町の飲食店でサッチによって見つかった。
今回は船医が抗生物質を調達するためだけの上陸だったため、滞在時間はとても短い。エースも子供ではないのでサッチはわざわざ探すつもりはなかった。しかし戻り時間を把握しているかどうかも怪しいエースが心配になり、エースの寄りそうな店を探した結果、発見したのだった。
エースを探すのにサッチはあまり苦労をしなかった。エースのいた飲食店は入口に人だかりができ始めていて、ちょっとした騒ぎになっていたからだ。
「またか」
サッチは誰に言うでもなく呟くと、店の中の様子を伺った。
そこには予想通りエースがいて、サッチが今しがた想像したような姿でピラフを枕にして寝こけていた。
サッチはざわざわと店内を見物している野次馬を掻き分け、エースを叩き起こす。
「すまねぇな、こいつは俺の仲間なんだ。おい、エース起きろ」
騒ぎがこれ以上広がる前に店を出たいサッチは、エースの肩を強く揺すり、頬を何度か叩いた。
エースがようやく覚醒した頃、周りの人だかりが急にざわめき出した。
「あのマーク、白ひげじゃないのか?」
「白ひげ?四皇がなんでこんな町に」
「なわばりにしようと偵察に来たのか?まさか本船も近くに来てるんじゃないだろうな」
白ひげと関わりが無い人々は、白ひげを海賊の最悪のイメージで見ているものも少なくない。
「白ひげ」ということばが出てから、店主は電電虫でヒソヒソ話をし始めたし、白ひげ一行がいるということを海軍に通報されたのかもしれなかった。
「エース!いい加減起きてくれよ!さっさと行くぞ!」
「・・・ん、サッチ」
悪い方向へ騒ぎが大きくなり始め、潮時を悟ったサッチは、寝ぼけ眼で続きを噛み始めたエースの首根っこを掴み、逃げるようにその場を後にした。
「く、食い逃げだー!!」
「や、やべぇ!」
店主のとっさの叫び声がきっかけとなり、逃げるサッチたちを島民が大挙して追いかけたのは言うまでもない。
何とかサッチたちは追手を撒き、白ひげ一行は抗生物質を蓄えて島から無事出港した。
船に戻ってからというものの、サッチが面白がって、船内ですれ違う隊員全てに昼間の騒ぎの話をしたので、その事は夜になると殆どの隊員の知るところとなった。
エースをよく知る隊員からすればいつものご愛嬌で、みんなエースの騒ぎを聞きたがったし、話したがった。
この事はすぐ白ひげの耳にも入り、これはさすがにまずいかもと思ったエースは、自ら率先して謝りに行くことにした。
「オヤジ、すまねぇ!俺のせいで騒ぎになっちまって!」
自由奔放な反面、素直さや謙虚さも併せ持つエースは、船長室に入るなり開口一番に頭を下げた。
白ひげの指示に従わなかったのは事実だし、誰よりも慕う白ひげの信頼を失うのが怖かったからだ。
「グララララ!頭上げろ、エース」
恐る恐る頭を上げると、白ひげは笑っていてエースは少しだけホッとした。
大概の事では白ひげは息子たちに本気で怒るようなことはしない。
「オヤジの指示を無視して騒ぎを起こすとは大した奴だ。さすがのマルコも真似できねぇな。グララララ!」
マルコという言葉に心臓が掴まれた思いがして改めて周りを見ると、エースが入ってきた扉近くの壁に、腕を組んだマルコが立っていた。特徴のある眉毛を寄せて、唇はへの字に曲がっている。どこから見ても機嫌が悪そうだ。
今回の件を白ひげは許してもマルコは許すつもりがないのだろう。エースはマルコの渋い表情を見て、すぐに察知することができた。
「俺ぁ面白いと思ったんだがな。マルコはそうじゃねぇみたいだ」
ため息交じりでマルコに向かって顎をしゃくって見せた。
「まぁ、無鉄砲なおめぇにとっちゃいい薬だと思ってマルコの言い分も聞いて来い」
白ひげはそう言うと、話は終わりだと言わんばかりに片手を上げ、酒瓶を煽った。
マルコが先に部屋を出たので、エースもそれに従い、船長室を後にするしかなかった。
- Continue ------------------------------------------------------
マルコは何にも囚われないエースさんに自分という存在を刻み込みたいのかもしれません。
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