CP/マルエーマルコを嫌な奴に書くつもりは全く無いのですが、頭が良くてちょっとズルい大人な感じで書けていたらいいなと思います。
[5回]
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翌日もまた、マルコはエースを部屋に誘う為に甲板を訪れていた。イゾウが言うように無理矢理自分のものにするのは最後の手段にしたかったし、狙う獲物が自分の元に落ちてくるのを楽しみたいという気持ちがまだあった。
どのみち、マルコがエースを狙っているのは誰から見ても明らかだったので、一番隊隊長の狙う獲物に横槍を入れようと思う命知らずはこの船にはいない。マルコが興味をもっている間は、エースの純潔は守られるのだ。
急いで台無しにすることはない、とマルコは思っていた。
エースが所属している隊は今晩夜番なので、エースはモップを片手に船首でサボっていた。
「エース、今日もまた探し物かい?見つかる見込みはあるのかよい」
いつものように甲板で物思いに耽るエースの横を陣取り、マルコは言った。
「わかんねぇ、でもここで待ってたら間違いなく見つかる気がするんだ」
「そうかよい。お前の探し物とやらを俺には教えてくれねぇのか?」
マルコはそれとなくエースに尋ねた。
エースの探し物を一緒に探す気はあまりなかったが、エースの心を捉える興味の矛先が何なのかは知っておきたい。もし、すぐに答えが出そうなものなら探してやればいい、とマルコは思っていた。
エースは自分の探し物について尋ねられたのが嬉しかったのか、目を輝かせてマルコを見返した。
そして、信じてもらえるとは思ってねぇけどさ、と前置きをして子供の頃見た青い鳥の話をし始めた。
東の海で孤独だった頃、星空に突如現れた輝く青い鳥が忘れられない事、モビーディック号に乗船してすぐ、それがまた現れてこの船の中に消えていったことをマルコに話した。
それは俺の事じゃねぇのか、と当のマルコは困惑した。十年近く前のエースが子供の頃に見たものと、マルコ自身が同一かどうかすぐには記憶を辿れないが、本当にそれが青い鳥なのであればマルコの可能性が高い。同じ能力は同時に二個存在できないからだ。乗船直後に見たものはマルコ以外にあり得るはずもなく、その鳥に対して熱っぽく語るエースを見るのは少し複雑な気分だった。不死鳥である青い鳥も人間の姿のマルコも、どちらも自分のはずなのに、エースの興味は青い鳥一辺倒で、その鳥の本来の姿には何の興味も持っていないからだ。だが、エースの探し物がマルコ自身だったことはチャンスに変わりなく、マルコはそれを逆手に取るのを躊躇わなかった。
「なんだ、探し物ってそれかよい。会わせてやろうか、その鳥に」
「え?マルコ隊長、あの鳥の事知ってんの!?」
知ってるも何も、マルコ自身なのだ。エースの目の前に現れるのも自分次第だ。今まで掴みどころのなかったエースだったが、探し物の内容が分かった途端、急にエースの実体を掴めたような感じを覚えた。
「お前が俺の添い寝に付き合ってくれるんなら、会わせてやってもいいよい」
「なんだよそれ、気持ち悪りぃ」
エースは無邪気な顔で笑いながら茶化したが、その目はしっかりとマルコを見据え、マルコに対する期待と興味が滲み出ていた。
マルコはエースの興味がようやく自分に向けられたのを実感することが出来て満足だったし、後は不死鳥をきっかけにどのようにエースを落とすか考えるだけだった。
「じゃあ、明日中番上がったら俺の部屋に来いよい。約束覚えたか?」
「わかったよ、酒に付き合えばいいんだろ?俺、あんま強くないからなぁ」
直球すぎるマルコの誘いを、鈍感なエースは歪曲して履き違えていたが、本人の気負いなく部屋に連れ込めるという意味では、勝手に勘違いしてくれた方が都合が良かった。
- Continue ------------------------------------------------------
次はエースとの逢瀬?が楽しみなマルコ隊長です。
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