CP/マルエーちょっと時間が空いてしまった21話ですみません。
久しぶりの更新なのにサッチ話とは・・・!
[4回]
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「エースのやつ、来ねぇな」
サッチとビスタは中番上がりで遅めの夕食を食べながら、エースの姿を探していた。
白ひげの暇潰しに誰かが行った時は大抵夕食時までには戻ってくるので、エースもそろそろ戻るのではないかと二人は思っていた。
サッチはあれから、マルコとエースの間にあったことをビスタに言えずにいたので、いつその話を切り出されるかと思い冷や冷やしていた。
何となくエースを待ちながら、ゆっくりと食べ物を口に運んでいたが、いつまで待っても当の本人は現れず、エース不在のまま二人の空腹は満たされてしまった。
夕食を食べ終えてしまい手持ち無沙汰になると、ビスタはサッチが恐れていた話題をおもむろに切り出した。
「サッチ、そういえばエースのことだが・・・」
「お、おう」
サッチは「エース」という言葉にドキッとしたが、ついにビスタが渦中の件を口にしたので、内心しどろもどろになりながら頷いた。
「あの件だが、俺たちが心配する程のことじゃなかったぜ」
「どういうことだ?」
エースの話題には引き気味のサッチだったが、何か進展がありそうなビスタの発言に思わず身を乗り出してしまった。てっきりマルコに探りを入れた結果を聞かれるとばかり思っていたので、ビスタの方から何かしらの情報がくるのは予想外だった。
ビスタは昨日あった事をサッチに順序よく話した。
昨日自室でジョズとエースの三人で酒盛りをしたこと、遅れて来たエースがマルコの部屋で大変なものを見てきたと動揺していたこと、それに対してエースが気を悪くしていたことをサッチに説明した。
今まで色恋沙汰に無頓着だったエースが、最近になってマルコの男事情に薄々気付くようになり、若さゆえの潔癖からマルコを避けていたのだろうとビスタは結論付けた。それに加えて昨日のことは、エースにとって刺激が強かったかもしれないが、モビーディックの男所帯で生活して行く上では無視できない慣習だし、エースにとって良くも悪くも勉強になったのだとビスタは思っていた。
「だから俺は言ったんだ。そんなもんはこの船じゃあ珍しくもないし、遊ぶのは本人の自由だから放っといてやれってな」
ビスタは自慢の口髭を指で整えながら言った。
サッチはビスタの話を最後まで聞いてから、なんて的外れな推理だと呆れたが、それ以上に本当の事情を知らないとはいえこちら側であるはずのビスタが、よりによってマルコとエースの関係を脅かすような真似をしでかしていたことに驚いた。
「本当にそんなこと言ったのか!?」
マルコとエースを何とか丸く収めたいと思っていたサッチはビスタに文句を言いかけたが、すぐに言葉をひっこめた。
ビスタは状況がわからないなりに最善と思われることをしたに違いない。サッチもマルコの告白を聞くまでは二人をそういう目で見たことはなかったし、特に古参の隊員はマルコに引き合いが多いのを知っているので、逆の立場であればサッチも似たようなことを言っているかもしれなかった。
「何かまずいことをしたか?」と心配そうな表情でこちらを伺うビスタをちらりと見て、サッチは自分勝手な文句をぐっと押し殺すと、肩を落として大きくため息をついた。
「いや、なんでもねぇ。あいつらの面倒見るのは大変だなと思っただけさ」
サッチは適当な嘘を言い、ビスタに真実を伝えるのを止めることにした。
エースはビスタの話を聞いて、さぞかしマルコを軽蔑しただろうなと思うと、当事者ではないのに胸が痛んだ。
サッチとマルコとは昔からの仲だ。今回の事はマルコに完全に非があるとしても、結局マルコの肩を持ってしまう。
マルコから事の顛末を告白された時点で、ビスタを掴まえてでも裏を合わせておくべきだったと思ったが、後の祭りだった。
サッチは若いエース一人なら、マルコの事をよく思い直すよう唆すことができるかもしれないと思っていたが、ビスタの話を聞いてしまった後ではそれも難しい。
話がより一層複雑になり、サッチは今まで以上に頭を悩ませることになった。
- Continue ------------------------------------------------------
ビスタは常識とか作法に厳しそうな勝手なイメージを持ってます。箸の持ち方とかうるさそうです。いい人で正論なんだけどおいちょっとみたいなキャラクターでもりもり邁進して欲しい今日この頃でした。
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