CP/マルエーようやく20話更新できました!
また目の前に現れたあの男と対峙するエースさん。裏がありそうな男に、昨日の顛末を聞いてしまい・・・という感じの20話です。
[5回]
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「またお前か・・・」
エースは鉢合わせしたあの夜のことを思い出し、一瞬顔が引き攣ってしまった。みっともない姿を見られてもなおエースに接触できる男の勇気には驚いたが、話がありそうだったので黙って待つことにした。
警戒するエースを前に、男はおもむろに話し始めた。
「昨日はすみませんでした、変な所を見られてしまって」
悪びれる様子もなく、男は言った。
お前が見せるように仕向けたんだろう、とエースは思っていたがあえて口には出さなかった。すると、男は唐突に言った。
「あれから俺、マルコ隊長と寝ました」
「え・・・?」
信じられない告白に、エースは殴られたような衝撃を受けた。
咄嗟にそれはうそだとすぐに思ったが、事実であったとしてもこの男がそれをエースに話す意図もわからず、声が出ないほど驚いた。
エースが言葉を失っているのをいい事に、男はそのまま続けた。
「あんなことになったけど、マルコ隊長は優しいから、自分を慕ってる人間を結局蔑ろにできないんです。エース隊長だってわかるでしょ?」
「・・・ああ」
エースは曖昧に相槌を打ったが、自分で何を言っているのか全くわかっていなかった。
自分と寝たばかりのマルコが、昨晩あれほど嫌悪感を露わにしていたマルコが同情心で絆されてこの男と寝ることなどあり得るのだろうかとエースは思った。男に言われるまでもなく、エースはマルコの優しさをよく知っている。マルコと過ちを犯すまでの数日間は、自分もマルコの優しさの恩恵を受けていたからだ。だが、それは誰にでも与えられるものではないとその当時のエースは思っていたし、これからもそう思い込んでいたかった。
認めたくないと混乱する頭で、ゆっくりと深呼吸して高鳴る鼓動を抑えると、エースは落ち着いた口調を装って精一杯皮肉交じりに言った。
「・・・良かったじゃねぇか、上手く行ったみたいで。でもその矢先にマルコが外泊なんて大事にされてねぇんじゃねぇのか?」
エースは自らがマルコに対して感じる疑問を男にぶつけた。
あの後、男とマルコの話がいいように纏まったとは到底考えられないが、万が一そうだったとしたら、マルコは島での用事が終わったら一刻も早く帰ってくるのではないかと思ったからだ。そもそも自分でさえ知らなかったマルコの外泊を、この男は知っていたのだろうかという意地悪な思惑もあった。
エースは男の目を見据えて答えを待った。
「・・・マルコ隊長は最近夜も忙しくて自分の時間が取れなかったみたいなんです。一人になりたいって周りにも漏らしてたみたいですし。せっかく一人の時間が取れたのに、邪魔しないのは恋人の役目でしょ?」
男はエースの様子を見ながら、勝ち誇ったように笑った。会話の内容から男がマルコの予定を知っていたかは推測出来なかったが、男の余裕のある態度を見るだけで十分だとエースは思った。
昨日の昼間に会った時は感じがいい男だとすら思ったのに、今は全く違う。エースは男から受けるあからさまな敵対心に、こいつは一体何が目的なんだという不安を植え付けられた。
エースが不安と動揺から口を噤んでいると、幸いなことに十六番隊の仲間が男を呼びに来たので、それ以上気の悪い話を続ける必要は無くなった。
エースは男が去って、見えない位置まで離れたと確信した途端、思わず走りだした。
倉庫近くの暗い物陰に辿り着き、息を潜めるように隠れると、両手で顔を覆って座りこんだ。
若い男と一緒にいるマルコを見ただけでも気分が悪かったが、寝たと聞いてこんなに衝撃を受け、動揺した自分に驚いていた。エースの方がマルコを避けていた筈なのに、マルコが自分を蔑ろにするのは許せない、そんな気分だった。そして今まで感じたことのない敗北感に胸が苦しくなる。
「ヤバい、俺は・・・」
マルコに嫉妬している。
そう気付いた瞬間に、心臓がバクンと波打った。
- Continue ------------------------------------------------------
やっと20話アップ!やたー!
ほとんど出来てたのになかなか上げれずに読んで頂いてる方には申し訳ありませんでした。。
少しだけ間が空いてしまったので、少し練り直すかもしれません。
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