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水響庭Blog

日々、思いつくまま書き連ねて行く駄文妄想blogです。 One piece/12、進撃の巨人/エルリその他を亀更新していきます。 作品はシリーズ毎のカテ分けになっています。 現状はOne piece、進撃の巨人のみになります。話は基本R15、R18を含む流れになりますので、苦手な方はご注意下さい。

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冬島(17)

CP/マルエー
マルコが踏んだり蹴ったりで可哀想な気もしてきました。
マルエーを取り巻く仲間たちにジョズももりもり参加してます!
マルコの部屋を飛び出したエースは、ビスタとジョズにまた聞きたくない話を・・・という感じの17話です。

拍手[4回]

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エースは咄嗟に自室に戻ろうとした。しかし苛々とした頭で部屋に追いかけてこられても面倒だと思い、居住区から離れることにした。
行く宛もなく食堂に降りようかと思ったが、ふと、ビスタとジョズが今日二人で飲んでいることを思い出し、そこに向かうことにした。

ビスタの部屋はマルコやエースの部屋とは離れた区画にあり、廊下を何回か曲がった先にもう一つの隊長用居住区があった。エースは慣れた足取りでそこに向かった。部屋に近づくにつれて、廊下に二人の騒々しい笑声が大きく響くのが聞こえてきた。
エースは、ドンドンドンと部屋の扉を力任せに叩き、二人の返事を待たずに部屋に入った。
「おう、エース!やっぱり来たか」
「ほらな、何だかんだで来るって言ったろ?俺の予想通りだ」
ビスタとジョズはエースの顔を見るなり口々に言った。
床にはすでに空の瓶が数本置かれていて、もう相当飲んでいるであろう二人はかなりご機嫌な様子だった。
ビスタは座っていた場所を一つ奥にずれてエースに椅子を譲ると、備え付けの棚からグラスを持ってきた。ジョズが開けたばかりのラム酒を新しく出されたグラスになみなみ注いだので、エースはそれを一気に煽った。
エースの豪快な飲みっぷりに二人から歓声が上がり、気を良くしたジョズはもっと飲ませようと空いたグラスに次の酒を注いだ。
酒を煽っても面白くなさそうな顔をしているエースを見て、ビスタは言った。
「どうしたんだエース、しみったれた顔しやがって」
先程の事を誰かに話さずにはいられなかったエースは、酒の勢いに任せて二人にマルコの事を話してしまった。
「・・・さっき、ヤバイもん見た」
エースは、二人も見たであろう回覧書類が自分で最後だったこと、サインしてマルコの部屋に行ったら思い掛けない場面に遭遇したことを話した。
マルコが若い隊員と取り込み中だった事と、去り際にエースと一悶着あった事は関係がないと思ったので、最後の部分は都合良く端折って話した。
エースは出来るだけ何でもない体を装い、目の前の二人がどう思うのか聞いてみたかった。

話が終わると、二人ともきょとんとしてエースを見ていた。
「ほう、それで?」とビスタは言った。
「・・・それでって、二人とも驚かねぇの?若い男がマルコに迫ってたんだぜ?」
思惑とは違い、冷めた態度の二人にエースは繰り返し言った。
「なるほどなぁ、ついにお前もそういうことに気づくようになったか」とジョズはしみじみ言った。
ジョズがエースに対して子供にするような言い方をするので、カチンと来て言い返した。
「ついにってどういうことだよ!」
「お前は今まで船内の色恋沙汰には気づかねぇし、無頓着だったじゃねぇか」
そんなことは今更珍しくも何ともないだろという風にジョズは言った。
エースはそう言われてよくよく思い返してみると、確かに船内では男同士がくっついている現場を目撃することがよくあった。宴会の夜や戦闘の後などは特に多く、暗がりで重なり合う隊員を見ては、マルコに理由を尋ねていた。マルコは「酔ってんだろうよい」「さあな、寒いんじゃねぇのかよい」などと適当な事を言いながら早く部屋に戻りたがり、そういう現場に長居をするのを許さなかった。
「・・・マルコのやつ、自分も人のこと言えねぇくせに俺のこと騙してたんだ」
エースは昔からマルコのいいように動かされてきたことに気づくと、さっきの一件といい、ますます苛立ちが募るのを感じた。
「マルコはお前が初心だと思って、目の毒になりそうなもんから遠ざけてたんだろ」
ジョズはマルコを擁護するように言った。
「初心・・・」
エースは男としては恥ずかしい響きに言葉を詰まらせた。
「ヤバいもんってそれだけの事か?」
ビスタは髭を触りながら言った。
「・・・それだけ、で悪かったな」
エースは拗ねたように酒を煽り、注いでもらったばかりのグラスを空にした。
「なあエース。お前が最近マルコとギクシャクしてる原因がそういうことなら、あんまり気にするな。この船ではよくあることさ」
特にマルコは、とビスタは笑った。
「そうだ、マルコがモテて自分がモテねぇからってカリカリしてたら身が持たねぇぞ」とジョズは豪快に笑った。
「そんなんじゃねぇよ!」
顔がカッと熱くなり赤くなった気がしたが、酒のせいでほんのり色付いてたこともあり、二人に気づかれなかったのは幸いだった。

酒が進んでも話題はマルコの事ばかりで、 今日の飲み会はその話で持ちきりとなった。
「マルコのどこがいいってんだよ」
エースは吐き捨てるように言った。
「あいつは誰にだって面倒見がいいし、島の女から言わせると優しくて上手いらしいぜ。俺ぁ金払ってもいらねぇが、いいと思うやつにとっちゃあアイツは最高の男なのさ」
ジョズはピーナッツを何個か口に放り込んだ。
「お前はマルコと仲がいいから気になるのかもしれんが、相手が男でも女でも、遊ぶ相手を選ぶのは本人の自由だ。この船の面倒見るのも大変さ。溜まってることもあるんだろう」
放っといてやれ、とビスタに言われて、エースは口を噤んだ。
エースの悩みはもっと根深い所にある。マルコの素行を二人から聞けたのは、これからの身の振り方を考える上では役に立ったが、同時にエースを酷く憂鬱な気分にさせた。

その日は三人で夜更けまで飲んでいたが、エースはヤケ酒の勢いで無茶な飲み方をしたので部屋を出る頃にはフラフラになってしまった。
ビスタの部屋を出て冷え切った自分の部屋に戻ると、乾燥したベッドに倒れるように横になり、毛布を身体に巻き付けた。
さっきまであれだけ騒いでいたのに、急にシンと静まり返る寂しい部屋に戻ると、その格差に余計辛くなった。
自分だけが知らなかったマルコの一面は、他人から聞くよりビスタなどの身内から聞く方が余程重みがある。
あれからあの隊員とどうなったのだろうか、と自嘲気味に考えながら瞼の重みに耐えられなくなって目を閉じた。
しばらくして、誰かが部屋の扉を叩いている音を聞いた気がしたが、酔いと眠気でまどろんだ頭のエースは、そのまま深い眠りに落ちてしまった。

- Continue -
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管理人が勝手にキャラ設定した冬島の中ではサッチが一番好きかもしれません。もしかしたら20話を越えるかもしれないなと思いつつ、18話に続きます。


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