CP/マルエー飛んで帰ってきたマルコに噛みつくエース。エースには言いたい文句が山ほどあって、という感じの26話です。
皆様は台風の影響大丈夫でしたでしょうか。
[6回]
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バタン!と閉ざされた部屋の中で、エースはマルコの無言の圧力に押され、ギシギシとベッドの奥へ後ずさった。
自然と背を壁に付ける体制になり、これ以上は下がれない。
「・・・さて」
上から見下ろすマルコの顔に一切の笑みはなく、覇王色の持ち主では無いはずなのに、凄まじい覇気に気圧されているような肌の痺れを感じた。
マルコが本気で怒っている姿を見るのは久しぶりだった。
叩きのめされる、と直感でエースは思った。
マルコの怒りを肌に感じながら、エースは今までの鬱憤を晴らすように、挑発的な言い方をした。
「・・・んだよ。そんな慌てて帰ってくるようなことかよ、うぜぇな」
エースが悪態をついた瞬間、マルコからブワっと青い焔が立ち上がったので、エースは内心怯んで思わず視線を外してしまった。
「おい、他に言う事があるだろうよい」
マルコはギシッとベッドに土足で上がると、エースの顔すれすれの壁をドンッと蹴った。大きく壁が震えて、書類棚に積み上げられたニュース・クーがバサバサと落ちてくる。
マルコが近い。数日間お互いが避けあって、まともに顔を見ることもなかったのに、今こうして目の前にいる。
真上から怒り狂ったマルコの視線を浴びながら、追い詰められているこの状況にエースの心は震えていた。
マルコの怒りでさえも、自分だけに関心向けられていると思えば甘く感じた。無理強いされたセックスを思いだし、駄目だと思いながらも下半身が疼く。
あれからたった数日で、こんなにもマルコに溺れてしまっていたことに気づいた。
(こんな状況で歪んでる・・・)
エースは場違いな欲を持て余す自分の愚かさを呪った。
マルコは沈黙するエースに痺れを切らし、覇気を纏った両手でエースの襟をひっつかんで無理矢理上を向かせた。
「・・・っ!」
「もう一度聞いてやる、言うべきことはねぇのかよい」
マルコの方を向かされたエースは、反射的に抵抗したが、抗った所でマルコに力で適う筈がない。
実力も、エースを凌駕する能力も、全てがマルコの方が上なのだ。
怒らせたからには素直に謝る方が得策なのに、自分から謝りたくないというプライドと、もっと怒らせて気を引きたいと思う歪んだ感情がエースの行動を狂わせる。
「・・・部屋燃やした事、謝まりゃいいんだろ?」
この後に及んで吐き捨てるようなエースの一言に、マルコはエースの襟を掴んだままドンッと壁に叩きつけた。
「・・・うっ」
襟を掴む手が首を容赦なく圧迫し、息が詰まる。
「お前はわかってねぇ」
「・・・ゴホッ!何が・・・だよ・・・」
「男を覚えた途端にくだらねぇ奴に触らせやがって」
「・・・っ」
マルコの意外な怒りの矛先に、エースは胸が掴まれるような苦しさを覚えた。マルコは、部屋を燃やした不祥事よりも、男に襲われた事に怒っているのだ。
しかし同時に人の事を言える立場かと怒りがこみ上げ、自分を締め上げるマルコの手を鷲掴み、力任せに引き離した。
「なんだよそれ、人の事言えんのかよ!見境ねぇのはマルコの方だろ!」
エースは火花を散らしながら、マルコを強く睨みつけた。元を辿ればマルコが発端なのに、エースとしては謂れのない侮辱までされて悔しさがこみ上げる。抑えなければいけないというプライドとは裏腹に、ぶちまけたい文句が喉元までせり上がってきて、止める事ができなかった。
「・・・俺、知ってんだ。十六番隊のあいつともヤったんだろ」
エースは気持ちが高ぶって、怒りで身体を震わせながら溜め込んでいたわだかまりを吐き出した。エースは興奮しきって涙目になっているのにも気付かず、図星だろうと言わんばかりにマルコを睨みつけた。
マルコはエースに掴まれた手を振り解こうともせず、ただ黙ってエースの顔を見つめ、文句を聞いていた。
マルコが沈黙したので、そのことを認めたと受け取ったエースはますます激しく罵った。
「・・・信じらんねぇ、人とあんなことしといてすぐ他の奴と遊べんのかよ」
「・・・」
「今回の事だって元はと言えばマルコが悪りぃんじゃねぇかよ!俺はあんなことっ・・・」
したくなかった、という言葉は出てこなかった。マルコと寝た後は訳もわからずショックだった筈なのに、今は違う。マルコに落とされたいと期待しながら、周りの人間に醜く嫉妬している。
「・・・最悪だ」
エースは汚らしいものを捨てるような仕草で、掴んでいたマルコの腕を放った。
- Continue ------------------------------------------------------
いよいよ終わりそうな感じかなと思いながら。
最後の話を先にざっと作っていますので、29〜30話でほんとに終わりにします!
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